ミケランジェロ・ブオナローティ

http://michelangelo2018.jp/

「神のごとき」ミケランジェロ・ブオナローティ(1475-1564)。システィーナ礼拝堂の《アダムの創造》と《最後の審判》は、僕の人生で見た絵画の中でも、特別なものでした。しかし彼自身はあくまで「彫刻家であり、画家ではない」と言い続けたそうです。世界に40点しか現存しない彼の彫刻のとても質の高い2点が今年上野に来ました。作品から放たれるオーラが半端ない。《ダヴィデ=アポロ》の周りを何時間もぐるぐる回ってしまいました。修復された《若き洗礼者ヨハネ》も傑作でした。

綴織と刺繡による仏の像

https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2018toku/ito/ito_index.html

「綴織當麻曼荼羅」の修理完成を記念した綴織と刺繡による仏の像を集めた展覧会が、7月14日から奈良国立博物館で始まったので、その月の連休は奈良に行きました。
「綴織當麻曼荼羅」ももちろんですが、僕の好きな「天寿国繡帳」と「刺繡釈迦如来説法図」を合わせ、国宝3点が一度に見られるとあって、楽しみにしていました。
「天寿国繡帳」は聖徳太子亡き後、橘大郎女が太子を偲んで発願し、推古天皇の勅願により、1年がかりで作られたという想いの籠った作品です。鎌倉時代に作られた模本と混ぜた形になっていますが、色も鮮やかに若々しく残っているのが飛鳥時代のものです。そうした想いが千数百年経ってもまだ作品から溢れ出ているのは凄い事だなあと感じ入ってしまいました。これが会場に入ったら、まず登場して来ます。京都の国宝展の時より見やすい展示でした。

フェルメール展

https://www.vermeer.jp/

画家の青木敏郎さんが、1978年マウリッツハイス美術館で「デルフトの眺望」を模写し、多くの事を学んだと芸術新潮に書いています。その中で私が特に感銘を受けたのはフェルメールの点描法について述べているところです。「模写をするには表面を真似るだけでは駄目で、下の層がどうなっているかを探らなくてはいけない。点を置き、その上にグレーズ(透明層)をかけ、乾燥させてまた点を置く。すると薄い平面の中にミクロン単位の厚さの点が何層も重なり、立体感が出る。そのマティエール(絵肌)が何とも美しいのがフェルメールの点です。」マウリッツハイスが購入したいと申し出た程の模写を完成させた青木画伯ならではの考察でした。
今回8点(1月9日から9点目が追加)ものフェルメールが上野に来ています。会場となっている美術館や興行師みたいな主催者がフェルメールに相応しいかどうかはともかく、これだけの数のフェルメールを東京で観られる幸運を素直に喜びたいと思います。
入場日時指定のチケットは破格の二千五百円。自動的に音声ガイドが付きますが、聴くほどの情報は入ってません。石原さとみファンの人には良いかもしれませんが。責任者と話をしましたが、彼らは今回コンサートのチケットと同様の扱いをしているため、一旦購入した日時指定チケットはたとえ急用が入っても変更キャンセルはできませんのでご注意下さい。
フェルメール以外の作品が並ぶ2階から案内され、1階に降りていきます。光の廊下みたいな演出のスペースを抜けた一室に8点のフェルメールが全て展示してあります。これはちょっと贅沢な空間です。現時点では、一目で8点のフェルメールを見渡せる空間は、地球上で、ここにしか存在しません。